キャンプ場の延長ではない、“大自然の中のリゾートホテル”を作り上げる
Topics
Snow Peak FIELD SUITE HAKUBA KITAONE KOGEN 支配人 山口聡一郎
(プロフィール)
1974年東京生まれ。2001年、ザ・ウィンザーホテル洞爺(北海道)で開業準備よりマーケティングに従事、G8サミットを経験。その後ホテルコンサルタントを経て、2012年、長野県白馬村の白馬リゾートホテル ラネージュ東館でマネージャーとして働く。2017年より本グランピングプロジェクトに加わり、2019年、現職。
「大自然を体感できるリゾートホテルを運営したい」
これが長年の私の夢でした。20代の初め、小売業で働いていた私は、モノを売るより心の豊かさを提供する仕事に就きたいと24歳でホテル業界に飛び込みました。
シティホテルやビジネスホテル、旅館など様々な形態がある宿泊施設の中でも「非日常」の特別な時間・空間をできるであろうリゾートホテルで理想のホテルを模索してきました。
縁あって今、支配人となったFIELD SUITE HAKUBAは私にとって、長年の夢を実現する場所であり、これまでの経験の集大成です。
移住して7年、ホテルの仕事を通じて長野県白馬村を元気にしたいという気持ちは年々高まっています。
現在は海外のお客様が増えているスキーシーズンに注目が集まる白馬ですが、世界有数の山岳リゾートにみられるような春夏秋冬オールシーズンを通じて楽しめるリゾートとしてのポテンシャルは日本のリゾート地の中でも非常に高いと感じています。
冬だけではなく、美しく色を変え移り変わる白馬の四季の景色を楽しんでいただけるリゾートホテルをこの地で作りたい。白馬村を元気にするために私ができる小さな一歩が、FIELD SUITE HAKUBAを訪れたお客様にご満足していただくことだと思います。
満足度の高い宿泊施設にするには何が必要なのか、開業が決まった2年前から考え続けてきました。オーストラリアやスイスのグランピング施設の視察などを通して感じたのは、建物の豪華さがラグジュアリーなのではなく、心を豊かにするさまざまな体験がラグジュアリーなのだということ。FIELD SUITE HAKUBAでは、「誰もいない山の中で満天の星を眺めること」「早起きをして幻想的なご来光を見ること」「動物の息遣いを感じられるほどの自然に近い場所で食事をすること」など、白馬・北尾根高原でしか得られない大自然の中での体験を最高の形でご提供しようと考えました。
それと共に開業前に数回行ったテストイベントでお客様と触れ合い感じたことは、お客様とスタッフ、お客様同士のふれあいもお客様が求めていらっしゃる「体験」のひとつなのだということです。ご滞在中、お客様のご要望を承るコンシェルジュはもちろんのこと、長野駅から北尾根高原に上るリフトまでの送迎車の中でのひととき、イタリア料理や地元長野のワインを提供するディナーの席でのシェフやスタッフとの会話、星空の下、生演奏を聴きながらの焚火バーで隣り合ったお客様同士の語らい・・・白馬・北尾根高原での一期一会を楽しんでいただくこともまた、心を豊かにする体験になるでしょう。
先日ご宿泊いただいたご夫婦は、ご主人がご闘病中で、ご滞在中は奥様がご主人を心配されながらも、ご夫婦の時間をとても大切にしているご様子に胸をうたれました。お帰りの際、「またここに来るためにがんばるよ」とおっしゃられたご主人のお言葉に、私自身が「より多くの皆様に感動を与えられる場所にするためにがんばろう」と勇気づけられました。
人と人との触れ合いで生まれる言葉や感情は、鏡のように自分に跳ね返ってくるようです。それは、コンクリートに囲まれた都市部より、ここ白馬・北尾根高原の自然の中でのほうが素直に、敏感に受け止められる気がします。
「FIELD SUITE」は、スノーピークの最高峰グランピングブランドですが、キャンプの延長線上にある宿泊施設というより、最高の体験・サービスを提供するラグジュアリーリゾートホテルでありたいという想いがあります。最大8室16名のお客様をおもてなしするため、接客に関わるスタッフは20名程度とお客様以上の人数を配置しています。
スタッフは、白馬村で生まれ育った者ばかりではありません。ホテル業界出身者ばかりでもありません。接客サービスに不慣れなところからひとつひとつ身に付けており、老舗ラグジュアリーホテルの様式美にはかなわない点はいくつもあります。ただ、どこよりも負けないと自負しているのが、白馬・北尾根高原を愛してやまない人々がこの場所に集い、この場所を楽しんでいただこうと一生懸命であるということです。
そのために、どんなことにも妥協せず、「お客様に一番感動をしていただけるにはどうすればよいか」を判断基準に運営しています。お客様がご自身のお気に入りの場所としてに再訪していただけるになれたらうれしい限りです。